日時 | 2025年10月17日(金)13:00~18:00 |
参加費 | 無料 |
予定参加人数 | 100名 |
開催方法 | オンライン(Zoomウェビナー) |
産・学・官によるガス及び匂いセンサ研究の最前線情報に関するプログラムを開催いたします。
<第1部:光野 秀文 (センサ&IoTコンソーシアム 副会長)>
13:00-13:05 開会の言葉/趣旨説明 三林 浩二 (センサ&IoTコンソーシアム 会長)
13:05~14:00「半導体ガスセンサの材料設計とMEMSデバイスへの適用」
【基調講演】島ノ江 憲剛(九州大学 大学院総合理工学研究院 物質科学部門 教授)
半導体ガスセンサの材料設計指針として、我々のグループはレセプター機能、トランスデューサ機能、利用効率の3つの因子を様々な実験的かつ理論的な観点から検証し、提案してきた。さらに、それらの指針を統合することで、ppbレベルのガス検知が可能な薄膜センサも報告している。これら研究成果を報告した後に、医学系の国内会議に招待され、ppbを検知できるガスセンサについて紹介したところ、「pptレベルは検知可能か?」と質問があった。この質問の意図は呼気や皮膚ガスに含まれる癌由来のバイオマーカーガスが検知できないかということであった。感度を増幅するためには、多くの酸素吸着が必要であり、そのためには作動温度を高温で保持し、表面をリフレッシュしてから、作動温度を下げて、できるだけ多くの酸素を表面に負電荷吸着させた後に、素子を再度加熱してガスと反応させてはとうかとの発想に至った。このような温度駆動にはMEMS素子が最適であり、その駆動方法と電気抵抗測定法を検討し、二つの温度を用いるダブルパルス駆動によって7ppt(トルエン)の検出感度を達成するに至った。次に、高感度と選択性を両立するためにパルス駆動ガスセンサへのレセプタ導入について検討した。我々は、酸性酸化物上での含酸素有機物の反応性に注目し、酸性酸化物であるMoO3をレセプターとしてSnO2上に分散担持して、MEMS素子にてダブルパルス駆動を行い、エタノール感度をメタノール感度の数10倍以上にすることに成功した。これはレセプターによる中間反応物の生成の違いを利用したものであり、このような発想はケトン基やアルデヒド基などを含むガスの検知にも適用きると考えている。
14:00~14:40「医工学利用に向けたサブppbレベルの高感度センサに関する研究」
【招待講演】田畑 仁(東京大学 大学院工学系研究科 専攻長)
ニオイと健康状態、病態との関係は嗅診の肝である。しかし診断者の感覚・経験依存し、数値化・客観的解釈が困難であった為、医工学分野において未成熟であった。ニオイ成分の中で皮膚ガスは無意識に常時検出可能であるが、必要なセンサにはppb(10億分の1)さらにはppt(1兆分の1)オーダの超高感度が必須であり。本シンポではウェアラブで繰り返し計測が可能なガスセンサ・デバイスを目指した研究について紹介する。
14:40~15:20「中赤外波長可変レーザーの開発とガスセンシング応用」
【招待講演】和田 智之(理化学研究所 光量子制御技術開発チーム)
中赤外域は分子の指紋領域であり、多数の吸収線を有する。本研究ではCr, Feイオンを発光中心とする波長可変中赤外レーザーを開発し、非線形波長変換により波長域を拡張している。これにより分子固有の吸収帯に同調可能となり、高選択・高感度な分光計測によるガスセンシング応用を紹介する。
15:20~15:30 休憩・センサ&IoTコンソーシアムのご紹介
<第2部:荒川 貴博 (センサ&IoTコンソーシアム 副会長)>
15:30~16:00「各種センサと最先端センシング技術の紹介」
【企業講演】髙島裕正(新コスモス電機 執行役員 技術開発本部 本部長代理)
弊社では様々な原理センサを開発しており、ガスの種類や濃度域のラインナップをそろえており
家庭用から産業用と幅広く対応しております。
特に匂いセンサにおいては長年開発を続けておりヘルスケアに貢献したいと考えています。
またMEMS技術による省電力化に成功し電池駆動タイプの警報器を発売し国内をはじめ北米に展開しています。最先端技術としてはレーザー式センサの活用についてご報告します。
16:00~16:40「皮膚ガスを情報として活用する‐体臭は心と体のメッセージ‐」
【招待講演】関根 嘉香(東海大学理学部化学科 教授)
ヒト皮膚から放散する微量な生体ガスは「皮膚ガス」と呼ばれ、体臭の原因となる。近年の分析技術の進歩により皮膚ガスの実態が明らかとなり、その種類・放散量はヒトの身体的・生理的状態、疾病の有無、生活環境や生活行為に関連することがわかってきた。皮膚ガスは体表面から非侵襲かつ自律的に取得できる生体信号であり、様々な分野での活用が検討されている。本講演では、皮膚ガスセンシングに関する研究事例を紹介する。
16:40~17:20「香りセンシングにもとづいた香り創作技術」
【招待講演】中本 高道(東京科学大学 総合研究院 特任教授)
本発表では以前に開発した香り再現技術を発展させて、言語による香りの表現から香りを作り出す技術を紹介する。香りのセンシングデータから香りの言語表現を抽出する方法を以前に開発したが、逆に言語表現から香りのセンシングデータを予測する。そして、そのセンシングデータを再現するように香りを調合して新たな香りを作り出し、嗅覚ディスプレイで提示する。創作した香りの評価やデモ実演の様子を紹介する。
17:20~17:50「光速と音速から探る気体の物性評価技術」
【企業講演】石黒 智生(理研計器株式会社 主席研究員)
光と音——どちらも気体中を伝わる波であるにもかかわらず、その振る舞いは大きく異なる。両者の伝播速度をリアルタイムで測定することで、気体の物性を高精度に評価する技術を紹介する。
アンモニアの合成・分解や合成メタンの反応過程のモニタリング、天然ガスの発熱量・比重・圧縮係数の精密測定など、実用例を通じて本技術の可能性を示す。
講演では、光と音の本質的な違いに着目し、今後の応用展開を考察する。
17:50〜18:00 閉会の言葉 光野 秀文 (センサ&IoTコンソーシアム 副会長)
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主催:センサ&IoTコンソーシアム