産業の発展により、地球に対する負荷は年々増大し、気候変動や天然資源危機、生物多様性の損失といった社会問題が拡大している。これらの社会問題を解決し持続可能な社会を実現するために、カーボンニュートラルやサーキュラーエコノミーの実現に向けた動きに加え、ネイチャーポジティブの実現に向けた動きも注目を浴びている。しかし、これら三つの取組は、互いにシナジーやトレードオフの関係を有するため、相互の影響を考慮して取り組むことが必要である。そのため、NEDOイノベーション戦略センター(TSC)では、これら三つの取組に貢献できるシナリオとして昨年7月に「自然共生経済」という将来像を提示し、現在フォローアップが行われている。
地球環境に関わる問題は、経済学的な視点から分析することも重要である。日本では長年、脱炭素化対策はコスト上昇要因であり、経済成長を阻害すると考えられてきた。しかし、21世紀に入ってからの先進国の経済成長と温室効果ガスの排出削減を分析した結果から、脱炭素化と経済成長は両立することが示唆されている(諸富徹氏著「資本主義の新しい形」)。そのためには、20世紀の産業構造の延長線上ではなく、それとは非連続的な形で21世紀の新しい産業構造を生み出す必要性が言われている。
さらに、持続可能な社会の実現には、自然科学と人文社会科学の連携に留まらず、政策担当者や社会のステークホルダーが、研究計画の立案から知見の利用にいたる諸段階で研究に参画する「超学際研究」の必要性が言われている。そのため、将来の地球環境などを学際的に考えるFuture Earth(国際事務局日本ハブ事務局長を春日文子氏がつとめる)が2015年に設立され、「地球環境に関するアカデミアと金融界のワークショップ」なども開催されている。
そこで本セミナーでは、持続可能な社会を実現するための課題と方策を科学、産業エコシステム、環境経済学的視点及び超学際研究的視点から総合的に議論したい。
セミナー講師
【第1部】公開政策セミナー (13:00~16:00)
講演1 「脱炭素化と経済成長の両立に向けた課題と方策」
京都大学 教授 諸富徹 氏
講演2 「将来像「自然共生経済」の公表とフォローアップについて」
NEDO-TSC/バイオエコノミーユニット 上席研究員 井出大士 氏
講演3 「地球環境変化と社会の持続可能性に向けた超学際研究の推進」
長崎大学 教授 春日文子 氏
【第2部】パネルディスカッション (15:10~16:00)
<パネリスト>
第一部講演者 諸富徹 氏、井出大士 氏、春日文子 氏、
東京科学大学・三林浩二教授(本コンソーシアム会長)、三菱ケミカル・水無渉部長、
東京大学先端科学技術研究センター・光野秀文特任准教授(本コンソーシアム副会長)
<モデレーター>
神戸大学先端バイオ工学研究センター・客員教授 湯元 昇 氏
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